2018年06月08日

日本初のプロ卓球選手・Tリーグ代表理事 松下浩二氏【後編】~東俊介のアスリート対談~ 第一弾

【前編】では現役時代のコンディショニングやトレーニングについてお話いただきました。今回お送りする【後編】ではセカンドキャリアとTリーグについてお話いただいています。

 

— 引退されてからのセカンドキャリアについてお伺いしたいのですが、まずは経営者になられた経緯を教えてください。

私は2001年に選手をやりながらチームマツシタという会社を立ち上げました。この会社では卓球選手のマネジメントを行っています。私は日本の卓球が強くなるためには、選手がもっと海外に出る必要があると考えていたのですが、そのためには選手をマネジメントする人やサポートしてくれるスタッフ、そしてスポンサーになってくれる企業が必要になると思い、この会社を作りました。実際に水谷選手や岸川選手など、様々な選手の海外でのクラブ探しなどをサポートしました。

Tリーグ代表理事 松下浩二氏

— チームマツシタは引退されてからも続けられていますよね?

そうですね、チームマツシタは自分の現役引退後のことを考えて立ち上げたので、引退後もそのまま経営を続けました。ただ、徐々に今よりももっと大きなことをしたいという思いが強くなってきたんです。今までは自分がサポートしてもらう側でしたが、今度は逆に回らなければなと考えていました。

具体的には、選手をサポートしたり、卓球の普及活動に協力したりですね。そこで2010年に、運もあり、その当時国内で3番目の卓球メーカーの社長に会社を譲ってもらうことができたんです。ただ、自分が務めている間に年商13億から30億まで業績を伸ばすことができたのですが、またもっとでかいことをやりたいなと思い始めました。

この会社にいる間に卓球選手や卓球の普及活動に一定の貢献をすることはできたとは思いましたが、それはほんの一部だと感じてしまったんです。そこで行き着いたのが、兼ねてより考えていたTリーグの立ち上げです。これであれば、卓球選手や卓球愛好者以外の方々も巻き込めるなと思ったんです。

 

— なるほど。Tリーグの構想はいつ頃からあったんですか?

構想は私がドイツに行った1997年にはありました。ですが、実際に動き出したのは2010年の3月にプロジェクトチームを立ち上げてからですね。

 

— 現役時代からTリーグの構想はあったんですね。

はい。そのためにドイツに行ったというのもありますし、後にフランスや中国に行ったのもそのためです。様々なリーグを見ておいた方が、将来日本でプロリーグを立ち上げる時に役立つだろうと考えた結果でした。

 

— Tリーグは日本の選手にとってどのような影響があるとお考えですか?

今の日本の選手は強いですけど、現状のやり方では永遠に続くとは考えていません。継続的 に中国のように強い選手を育てていくには、T リーグのようなプロ的な環境が必要だと考えています。プロのクラブが、3歳〜6歳から組織的に育てる仕組みができれば、強い選手を継続的に輩出できると思います。

 

— ということは、中国の選手が強いのは環境が整っているから、ということでしょうか?

そうですね、中国には選手が育つ環境があるというのは強さの理由の一つだと思います。だからこそ半世紀もの間トップを走り続けることができるわけです。人口が多いという理由だけではなし得ません。

 

— なるほど。質問は変わりますが、松下さんはご自身のやられたいことを次々と成し遂げられていますが、何か秘訣はありますか?

しつこくできるまで諦めないことですね。それが成し遂げている人の共通点だと思います。ここ数年色々なことがありましたし、挫けるようなときも何回もありましたが、諦めずに成し遂げるにはどうしたらいいかを考え続けてきました。

私は現状からどうよくしていくか、しか考えていなので、どれだけ落ちてもくじけることはありません。くじけても何も進まないですし、泣いている暇があれば自分ができることをやるべきだなと思っています。

 

— ありがとうございます!最後にAuBのActivity読者にメッセージをお願いします。

今Tリーグの立ち上げに向けて一生懸命頑張っていますが、Tリーグの理念にもある「世界一のリーグ」を作り上げて、日本の方々のみならず、世界の方々に貢献ができるような、そういうリーグにしていきたいなと思います。

Tリーグはオープンなリーグなので、人種も性別も年齢も関係ありません。誰でも参加OKです。そう言ったオープンな環境の中で、みなさんに喜んでいただけるようにやっていければと思うので、これからぜひ応援して下さい。

 

インタビュイー:松下 浩二(まつした こうじ)

1967年8月28日生まれ、愛知県豊橋市出身。1993年に日本人初のプロ卓球選手となり、全日本選手権シングルス4度優勝。1992年のバルセロナ五輪から2004年のアテネ五輪まで4大会連続で出場。国内のみならず、スウェーデン、ドイツ、フランスの欧州リーグでもプレー。
現在は、日本の新リーグ「T リーグ」の代表理事・専務理事を務める。

 

インタビュアー:東 俊介(あずま しゅんすけ)

1975年9月16日生まれ、石川県金沢市出身。元ハンドボール日本代表キャプテン
大崎電気にて9度の日本一。日本ハンドボールリーグ通算400得点。現役引退後、早稲田大学スポーツ科学学術院にてスポーツマネジメントを学び、修士論文は優秀論文賞を受賞。日本ハンドボールリーグ初代マーケティング部長。現在は琉球アスティーダスポーツクラブ株式会社にて取締役を務める他、数社のアドバイザーを務める。
2017年9月からAuB株式会社に社外顧問としてジョイン。