2018年06月15日

プロバイオティクスで思考をポジティブに ~メンタルと腸内環境の関わり~

今回のActivityは久しぶりの論文紹介です。やや遅ればせながら五月病という言葉もあるように、生活環境の変化は精神的な影響も大きく、時にはメンタルの状態が望まぬ方向に変わることもあります。

今回はそんな状況に役立つかもしれないメンタルと腸内環境との関わりについて述べた論文を紹介します。

今回紹介する論文ではプロバイオティクスとしてビフィズス菌と乳酸菌を摂取し、メンタルへの影響を調べた結果を報告しています(1)。

プロバイオティクスについてはこちら

実際の調査方法としては、まず40人の健康な被験者を年齢や性別、BMIなどの偏りがないように20人ずつ2つのグループに分けました。

そして、一方のグループはビフィズス菌2菌株と乳酸菌6菌株の計8菌株を4週間プロバイオティクスとして摂取し、もう一方の摂取していないグループと比較することによりプロバイオティクスの影響を調べました。

比較内容はメンタルについてのアンケートで、試験期間中の気持ちやその時の考えを聞き取り調査しています。その結果、ビフィズス菌や乳酸菌をプロバイオティクスとして摂取したグループは悲しい気分にあってもネガティブな思考をすることが少ないことが示されました。
発酵食品この論文の意義についてですが、これまであった論文で動物や精神的な不調を訴えている人へのプロバイオティクスの効果は報告されていましたが、健常人を対象としてプロバイオティクスが気持ちや考えに影響することを述べた最初のレポートであることをこの論文はアピールしています。

実際にはメンタルなどの主観を数値化することは非常に難しく、この論文の信頼度を評価することも難しいところです。
しかし、この論文で述べられているように、プロバイオティクスにより悲しい気分でのネガティブな思考を減らせると、今後は鬱状態などを前兆の段階で予防できるように発展していくことが期待されます。

ビフィズス菌を含む食品はヨーグルトが多いですが、乳酸菌はヨーグルトだけでなく、漬物や醤油、味噌など多くの食品の発酵にも利用されています。


紹介した論文のようにビフィズス菌や乳酸菌にもいろいろな種類があるので全く同じ菌株という訳にはいきませんが、ビフィズス菌や乳酸菌は手軽に食事に取り入れることができます。

既に梅雨入りしている地域もあり、すっきりしない天気に気分も滅入りがちな日々が続きますが、食生活の改変で多少は気が紛れるかもしれません。試してみてはいかがでしょうか?

1. Steenbergen L, Sellaro R, van Hemert S, Bosch JA and Colzato LS. 2015. A randomized controlled trial to test the effect of multispecies probiotics on cognitive reactivity to sad mood. Brain Behav Immun. 48:258-264.