2018年02月09日

論文紹介 乳酸菌がアスリートの風邪の回復を早める?

”栄養と腸内フローラの関係”についての集中掲載もついに第3回目を迎えました。

前回は乳酸菌の情報をお届けしましたが(http://aub.co.jp/activity/878/)、今回は乳酸菌の摂取がアスリートに及ぼす影響について調査した論文を紹介します。

今回紹介する2つの論文では、前回の記事でも少し触れた”腸までの間に死滅しにくい乳酸菌”が使用されています。

この乳酸菌をアスリートが摂取すると、風邪の症状や免疫にどのような影響があるのかを調査しています。

まず1つ目の論文では、39人のアスリートを2つのグループに分け、1つのグループの20人が冬期に14週間に渡って継続的に乳酸菌を摂取し、摂取していないもう1つのグループの19人と比較解析をしています(1)。

その結果、乳酸菌の摂取によって風邪をひく頻度の低下や症状の緩和などは確認できなかったものの、風邪をひいていた期間が短くなるという乳酸菌摂取の効果が示されました。

アスリート

また、同じ研究グループは2つ目の論文で、30人のアスリートを2つのグループに分け、血液や唾液を採取して免疫への影響も調査しています(2)。その結果、免疫全体では大きな変化は現れなかったものの、乳酸菌の摂取によって特定の細菌に対する抗体のレベルにも違いが出たことがわかりました。

これらの論文では乳酸菌の摂取によって風邪の回復は早まっていましたが、今後の研究によっては乳酸菌の摂取で風邪を予防できるかもしれません。乳酸菌の継続摂取がアスリートのコンディショニングのサポートに有効な手法となる可能性が考えられます。

以前にもアスリートに対するシンバイオティクスの影響について調査した論文を紹介しましたが(※)、アスリートをサポートするためには腸内フローラ研究の分野全体がまだまだ進展が不十分という状況です。

AuBの研究は始まったばかりですが、この研究をリードできるような論文の公表を目指しています。その手始めに、AuBにとって初めての学術的な場での研究成果を発表する機会として、3月に開催される学会に参加することになりました。

発表後にはこちらのActivityでも内容などを報告し、その後も学会で定期的に研究内容を発表する予定です。今後のAuBの活動にぜひご期待ください。

 

※以前の記事「シンバイオティクスによってトライアスロンの成績向上を目指す」はこちら

 

  1. Michalickova D, Minic R, Dikic N, Andjelkovic M, Kostic-Vucicevic M, Stojmenovic T, Nikolic I and Djordjevic B. 2016. Lactobacillus helveticus Lafti L10 supplementation reduces respiratory infection duration in a cohort of elite athletes: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Appl Physiol Nutr Metab 41(7):782-789.
  2. Michalickova DM, Kostic-Vucicevic MM, Vukasinovic-Vesic MD, Stojmenovic TB, Dikic NV, Andjelkovic MS, Djordjevic BI, Tanaskovic BP and Minic RD. 2017. Lactobacillus helveticus Lafti L10 Supplementation Modulates Mucosal and Humoral Immunity in Elite Athletes: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial. J Strength Cond Res 31(1):62-70.