2018年03月23日

糖質制限で老化が顕著に? -農芸化学会発表事例紹介-

3月17日、日本農芸化学会2018年度大会でAuBはアスリートと腸内細菌についての研究成果を発表しました。

農芸化学会は、発表演題が2,000件近くある、大変規模の大きな学会です。

今回は、せっかくの機会なので当日発表のあった他の方々の発表についてご紹介したいと思います。

(1)ミドリムシが腸内細菌に与える影響について

多くの栄養成分を含むミドリムシをヒトが摂取すると、腸内細菌にどのような影響があるかという研究成果を、ユーグレナ(株)さんが発表されました。28人の被験者に1ヶ月間毎日ミドリムシのサプリを摂取してもらった結果、18名の被験者の便通が改善したそうです。

さらに、腸内細菌の変化を見たところ、人体に良い影響を与えているということで最近注目されている「酪酸」を産生する菌が増えたという結果が得られたそうです。

また、腸の炎症を促進するといわれている菌が減少したという結果も得られたそうです。今後は、ミドリムシのどの成分が影響を与えているかなど、そのメカニズムを解明するという研究をされるそうです。

様々な栄養素を含む新しい機能性食材のミドリムシが、腸内細菌にどのように影響があるか、非常に興味深い発表でした。

 

(2)清酒酵母と睡眠の関係について

ライオン(株)さんが、清酒酵母の摂取と睡眠の関係について発表されていました。

以前から、清酒酵母の摂取が睡眠の質を向上させたり、肌質もよくなったという研究を発表されていたそうですが、今回は具体的に「疲労感」と「活力」にどのように影響があったか発表されていました。

具体的には、VAS法という調査方法により、清酒酵母の摂取によって疲労感が抑制されることがわかったと報告されていました。また、SF-8という調査方法により、「活力」についても清酒酵母の摂取によって良い結果が得られたと報告されていました。

なぜそうなるかというメカニズムについてはまだ検証中だそうです。

睡眠は、腸内細菌にとっても影響があると言われています。健康な生活を送るためにも、睡眠もとっても大事ですね。

 

(3)糖質制限食と老化の関係について

東北大学さんが、糖質制限食と老化の関係について発表されていました。

こちらでニュースにもなったこともあり、聴講者がかなり多かったです。

最近、ダイエット目的で糖質制限食が注目されていたり、アスリートの中にも取り組む人がいらっしゃいます。その糖質制限食について、「老化が早まる」というかなりショッキングな内容でした。

たるんでいるお腹の画像

実験は、老化モデルのマウスを用いて行われ、普通の食事と、糖質制限食(炭水化物の代わりにたんぱく質多めの食事)を与えたマウスの比較が行われていました。

結果として、糖質制限食を与えたマウスでは、学習機能が低下し、脱毛など見た目の老化も著しく進み、寿命が短くなった、ということが報告されました。

ここまで聞くと、一般の消費者にとって「糖質制限食は危ない!」という印象を抱いてしまうかもしれませんが、この結果についてはもっと深く考察する必要がありそうです。

というのも、質疑応答の時間に多くの研究者から寄せられた質問は「この結果は、糖質制限した結果ではなく、糖質の代わりに多くのタンパク質を摂取させたからではないのか?」というものでした。タンパク質の過剰摂取については、人体に悪影響があるという報告は既に多くあるので、それとの関連を調べる必要があるということです。ちなみにアスリートも、タンパク質を取るためにプロテイン飲料を過剰に摂取すると、体調を壊す人がいます。

発表者も、その可能性を含め今後検証する必要があると言われていました。

いずれにしても、糖質やタンパク質の摂取方法はアスリートにとっても非常に重要な課題ですので、とても有意義な報告でした。今後のこの研究グループの成果にも期待したいと思います。

 

アスリートのために研究をしていると、「こうすれば誰でもよくなる」といった情報はほとんど役に立たないということがあります。一人一人の特徴を見て、その人がどうなりたいかという目的を把握し、そのために有効であると思われることの中から、確率がより高い方法を選択して、実際どうなるか検証しながら進めるするしかありません。

一般的にも、「この方法は健康に良い」「健康に悪い」という話が蔓延していますが、このような専門的な学会で話を聞いてみると、やはりそんな単純な話はほとんどなくて、専門家による日々の研究によって明らかにされている途中の事が多いのだと、よくわかります。

そして、次回のActivityは今回の学会で発表いたしましたAuBの「アスリートと腸内細菌についての研究成果」の内容を報告いたします!