2018年03月30日

アスリートの腸内細菌の種類数 - 農芸化学会報告(発表内容編)

AuBは3月15〜18日に名古屋で開催された日本農芸化学会2018年度大会に参加してきました。前回のActivity( http://aub.co.jp/activity/946/)では他の方々の発表を紹介しましたが、今回はAuBの発表内容を報告いたします。

 

この学会で、AuBは「アスリートの腸内細菌叢多様性の解析」と題して研究成果を発表しました。腸内細菌叢の研究成果を基にアスリートをサポートすることを目標としているAuBですが、今回は特に多様性(細菌の種類数)に着目して解析しました。その理由は、以前のActivity (http://aub.co.jp/activity/448) でも紹介した論文で、アスリートは一般人と比べて腸内フローラの多様性が高いことが報告されていたからです。その論文では、アイルランド人のラグビー選手を一般人と比較していましたが、AuBは複数種目の日本人トップアスリート109人を一般人と比較して解析しました。

 

まず、論文と同様に日本人アスリートの腸内細菌の多様性も一般人と比較して高いのかどうかを調べました。その結果、日本人アスリートでは多様性については一般人と違いがありませんでした。多様性の指標になる数値は実験の条件などで変わってしまうため、論文の数値とは直接比較できないのですが、腸内フローラの細菌組成が人種によって変わることもわかってきています。人種の違いが原因とも考えられますが、結果が異なっていた理由はまだ解っていません。

 

次に、アスリートの腸内細菌叢の多様性に影響する要素にどんなものがあるか、競技や身長、体重などのデータと突き合わせて探索しました。そうすると、相撲やラグビーの選手はサッカーや駅伝の選手より多様性が低い傾向がありましたが、はっきり結論できるほどの違いではありませんでした。
これからアスリートのサンプルをもっと集めることによって、この傾向が本当なのか、BMIや筋肉量など影響する要素が何なのか明らかになるかもしれません。

アスリートサッカー選手

さらに、競技の特性や体格など何らかの因子が腸内フローラに影響している可能性を示すデータが腸内細菌叢の細菌組成を解析することによっても得られました。この解析によってアスリートの腸内細菌叢の細菌組成は平均から外れている、しかも、数種類の腸内細菌がアスリートの細菌組成を特徴づけているということが解明されました。

 

今後はアスリートの腸内フローラの一般人との違いを生み出す細菌を特定する予定です。そして、そのメカニズムを解析することがアスリートのサポートに繋がるのではないかと期待しています。

 

回のActivityは農芸化学会報告(番外編)の予定です。