独自配合した約30種の多様な菌の摂取で腸内のビフィズス菌が増加

腸内細菌の多様性は、私たちのお腹の健康だけでなく全身の健康に寄与することが近年の研究で明らかになってきています。

その中でも、腸に良い菌と言われるビフィズス菌は生まれて間もない頃にもっとも多く、年齢を重ねると減少するという特徴を持つ菌の一種です。

しかしながら、ビフィズス菌も全身の健康に寄与する微生物であり、日々の食事・生活習慣を整えることでこのビフィズス菌の減少を食い止めることが、健康的な生活となる一助を担うことは間違いありません。

そこで、今回AuB株式会社では、腸内で良い働きをする同菌素材(プロバイオティクス)を摂取することで、ビフィズス菌の保有率を上げることを発見しました。


ビフィズス菌とは

ビフィズス菌(Bifidobacterium)は、プロバイオティクスとして知られる有用な細菌の一種です。これらの細菌は、消化器官や生殖器官などのヒトのさまざまな部位に存在し、健康に重要な役割を果たしています。

ビフィズス菌の代表としては、Bifidobacterium longumBifidobacterium bifidumBifidobacterium breveなどが挙げられます。


ビフィズス菌の主な働き

①お腹の調子を整える(整腸作用)

ビフィズス菌は、体に悪影響をおよぼす菌の増殖を抑制して、有用な菌を増やす乳酸や酢酸などの有機酸を腸内で産生します。その結果、腸内環境が整い、腸内細菌叢のバランスを整えます。

②病原菌の感染や腐敗物を生成する菌の増殖を抑える

ビフィズス菌をはじめとしたプロバイオティクスには、腸管関連疾患や感染症の予防効果があることがわかっています。また、ビフィズス菌を含む多様な細菌で構成された腸内細菌叢は、体に有害な菌の増殖を抑制します。

③免疫機能を調節する

アレルギーを持つ子どもと健康な子どもの腸内細菌叢を比較すると、アレルギーを持つ子どものほうがビフィズス菌の存在が少なく、症状が重い子どもほど、よりビフィズス菌の存在が少ないという報告があります。*1

そこで、アトピー性皮膚炎の子どもにビフィズス菌を投与したところ、症状が改善されたことが明らかになりました。ほかにも、花粉症予防効果や抗ガン効果など、さまざまな免疫調節作用が認められています。

④うつ病のリスクを下げる

うつ病の患者は、精神的な問題を抱えていない人に比べて腸内でのビフィズス菌の存在が少ないことも明らかになっています。このことから、ビフィズス菌をはじめとした体に良い影響を与える菌は、精神面にもメリットがあるといえます。*1


腸内細菌の組成は老化に伴い変化する

腸内には多種多様な微生物が存在し、これらの微生物叢は私たちの消化や免疫機能に重要な役割を果たしています。しかしながら、加齢とともに腸内環境は変化し、特にビフィズス菌の割合が減少することが知られています(下記図、紫線)。

出典:光岡、1973 *2

ビフィズス菌の割合が減少する理由は様々ですが、食生活やストレスなどの生活習慣が大きく関係していると考えられます。


独自配合した約30種の多様な菌を用いた研究について

AuBでは、アスリートの健康的な腸内環境のデータを基に、ビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌など種類豊富な約30種の菌を独自配合した素材「アスリート・ビオ・ミックス(Athlete Bio Mix(R)、ABM)」を開発しています。

今回、被験者(プロフットサル選手15人)を対象に、2021年4月から5月にかけて、この菌群(ABM)を一定期間摂取してもらい、腸内細菌叢の変化を糞便中のDNA解析により解析いたしました。

その結果、ビフィズス菌の占有率が、菌素材の摂取後(6週間後)で、一人当たり平均約1.6倍に増加することが明らかになりました。


本研究の詳細

調査概要

調査対象:静岡のプロフットサルチーム「アグレミーナ浜松」の所属選手15人

■調査方法:選手には独自配合した約30種の多様な菌を主原料にしたサプリメント(ABM)を、1日3粒、6週間(2021年4月15日-5月26日)毎日摂取。採便によって得られたサンプルのDNAを解析して、腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸)の量を解析。(検査日の練習時間とトレーニングは同様に行う)

研究期間:2021年4月〜2021年5月


研究結果

約30種の多様な菌を主原料にしたサプリメント(ABM)を飲むことで腸内のビフィズス菌の占有率が増加>

ビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌など種類豊富な約30種の菌を独自配合した素材「アスリート・ビオ・ミックス(Athlete Bio Mix(R)、ABM)」を継続的に摂取にしてもらった結果、便中の腸内細菌におけるビフィズス菌の占有率が、6週間で約1.6倍に増加していたことが分かりました。

またビフィズス菌などの菌の代謝物であり、ヒトの免疫機能の調整に有用な短鎖脂肪酸は、約1.2倍※1に増加しました。(※1:日本分子生物学会(2021.12)で発表)


本研究を踏まえて、腸内のビフィズス菌を減少させない・増加させるためのポイント

①多種多様な菌を発酵食品等から摂取する

ビフィズス菌を増やすためには、ビフィズス菌のみを摂取するだけでなく、他の腸に良い菌も摂取することが重要です。多種多様な菌を摂取することで、腸内環境のバランスを整え、ビフィズス菌の増殖を促すことが期待されます。そのためにも、発酵食品を取り入れましょう。発酵食品であるヨーグルト、キムチ、麹、納豆などの発酵食品には、乳酸菌や酵母などの微生物が存在しています。

②ビフィズス菌のエサとなる水溶性食物繊維とオリゴ糖を摂取する

ビフィズス菌は、水溶性食物繊維とオリゴ糖を主な栄養源として利用します。これらは「プレバイオティクス」であり、ビフィズス菌以外の腸に良い菌を育てるためにも必要不可欠です。これらプレバイオテイクスは、野菜類、果物類、豆類などに含まれていることが多く、大豆、たまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、バナナなどが代表的な食材例です。

③サプリメントを活用する

時間があまりない、体質的に食事量があまり増やせない……という場合には、サプリメントを活用しましょう。できれば、1〜2種類だけでなく様々な種類の菌が配合されているサプリメントを毎日継続的に飲むことをおすすめします。


多様な菌を摂取することで腸に良い影響を与えるビフィズス菌が増加する

今回の研究では、アスリートの方々が約30種類の多様な菌を摂取することで、腸に良い影響を与えるビフィズス菌の占有率が増加することがわかりました。ビフィズス菌をはじめとするプロバイオティクスは、全身へさまざまな影響を与えることが知られています。以上より、私たちはサプリメントや月30種類以上の食品(主に発酵食品)から多様な菌をとることを推奨しています。

また、ビフィズス菌を腸内で増加させるには、ビフィズス菌のエサとなる水溶性食物繊維とオリゴ糖の摂取も欠かせません。

ビフィズス菌を腸内で増やすことは、全身の健康をサポートすることにもつながります。そこで、我々はこの知見を活かした商品開発やユーザーコミュニケーションを図り、腸内環境の重要性や食事・生活習慣から始めるコンディショニング普及活動に注力していきます。

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引用

*1:Aizawa, E., Tsuji, H., Asahara, T. et al. (2016) Possible association of Bifidobacterium and Lactobacillus in the gut microbiota of patients with major depressive disorder. J. Affect. Disord., 202:254-7.

*2:Mitsuoka, T. and Hayakawa, K., (1973) The fecal flora in man. I. Composition of the fecal flora of various age groups, Zentralbl. Bakteriol. Orig. A., 223(2):333-42.