現役Bリーガー・専門家らと共に「アスリートコンディショニング研究会」を初開催

人々にとって理想的な腸内環境を持つアスリートの腸内細菌を研究するバイオベンチャーAuB(オーブ)(株)(東京都中央区)は、アスリートやスポーツ現場、研究に携わる人たちが日頃の課題や取り組みを共有し、情報交換を行う「アスリートコンディショニング研究会」を2023年7月21日(金)に開催いたしました。

  • 研究会の開催背景

AuB株式会社は、「すべての人を、ベストコンディションに。」というミッションを掲げ、人々にとって理想的な腸内環境を持つアスリートの腸内細菌を研究するバイオベンチャー企業です。

創業以来、アスリートの腸内細菌の研究を行う過程で、「もっと最新の研究事例を知りたい」というアスリートの声や、「もっとアスリートの現場の課題を知りたい」という研究者・専門家の声を多くいただきました。

今回の研究会は、アスリートや専門家、研究関係者、スポーツトレーナー、双方の本質的な課題や取り組みをフラットに相談し、情報交換する機会を作ることで、コンディショニングに関わる研究の発展とアスリートの競技力向上に貢献することを目的に開催いたしました。

  • 研究会の概要

日時:2023年7月21日 16:00-19:00

場所:JSR Bioscience and informatics R&D Center

神奈川県川崎市川崎区殿町3丁目103番9

テーマ:「リカバリーと腸内細菌」

参加対象者:アスリート・専門家・研究関係者・スポーツトレーナー

参加人数:約30名

登壇者

香川大学 教授 桑原知巳

日本薬科大学 特任教授 石川泰弘

プロバスケットボール選手 石井講祐 (シーホース三河 所属) 

株式会社メタジェン 代表取締役社長CEO 福田真嗣

AuB株式会社 代表取締役 鈴木啓太

AuB株式会社 研究統括責任者 冨士川凛太郎

  • 研究会のレポート

■主なプログラム

No.内容発表者
1挨拶・AuBの会社紹介AuB 代表取締役 鈴木啓太
AuB 研究統括責任者 冨士川凛太郎
2<最新研究発表>
アスリートと腸内細菌の関係
香川大学 教授 桑原知巳
3<最新研究発表>
 リカバリーに効果的な入浴メソッド
日本薬科大学 特任教授 石川泰弘
4ゲストアスリートの紹介プロバスケットボール選手 石井講祐 (シーホース三河 所属) 
5<パネルディスカッション>
テーマ:リカバリーと腸内細菌
 ・アスリートにとって効果的なお風呂の入り方
 ・腸活が慣れてくるのはなぜ?対策は?
・子供の頃から取り組むべきことは?
・参加者からの質問
香川大学 教授 桑原知巳
日本薬科大学 特任教授 石川泰弘
シーホース三河 石井講祐
株式会社メタジェン
代表取締役社長CEO 福田真嗣
AuB 代表取締役 鈴木啓太
AuB 研究統括責任者 冨士川凛太郎
6懇親会全参加者

  • 登壇者プロフィール

香川大学 医学部・医学系研究科 分子微生物学 教授 桑原知巳

30年以上腸内細菌の研究に携わり、腸内細菌とヒトの相互作用について多数の論文を執筆。平成18年感染症学会優秀論文省受賞。近年はマスターズ陸上に参加されている高齢者の腸内細菌を収集し、腸内細菌と筋肉や運動能力との相互作用について研究中。

また、青森市の酸ヶ湯温泉がウイルスの感染効果を低減させる効果を有することを発見し、2023年2月に発表。

日本薬科大学 医療ビジネス薬科学科 スポーツ薬学コース 特任教授 石川泰弘

順天堂大学 大学院スポーツ健康科学研究科 博士課程修了 博士(スポーツ健康科学)  リカバリーに関する研究や知見を基に、多くのアスリートのサポートを行う。また、全国各地で温泉や入浴、睡眠に関する講演を実施。 講演やセミナーが各地で話題となり、出演依頼が後を絶たない。TVや雑誌、ラジオへも多数出演。現在リカレント教育として漢方アロマコースのプロデュースも行う。 

プロバスケットボール選手 石井講祐 (シーホース三河 所属) 

1987年生まれ千葉県出身。

東海大学卒業後3年間は関東実業団リーグの富士通に入団、その後千葉教員チームを経て、2013年千葉ジェッツに練習生契約で加入。2019年に3Pシュート確率でリーグ1位。2020年サンロッカーズ渋谷に移籍ベストタフショット賞を獲得し、天皇杯4連覇を達成。2023年からシーホース三河に移籍、リーグ制覇を目指す。

株式会社メタジェン 代表取締役社長CEO 福田真嗣

2006年明治大学大学院農学研究科博士課程を修了後、理化学研究所基礎科学特別研究員などを経て、2012年より慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授。2019年同特任教授。2021年より(一社)腸内デザイン学会代表理事、2022年より順天堂大学大学院医学研究科細菌叢再生学講座特任教授を兼任。2015年、第1回バイオサイエンスグランプリにて、ビジネスプラン「便から生み出す健康社会」で最優秀賞を受賞し、株式会社メタジェンを設立。代表取締役社長CEOに就任。専門は腸内デザイン学。著書に「改訂版もっとよくわかる!腸内細菌叢 ”もう一つの臓器”を知り、健康・疾患を制御する!」(羊土社)。

AuB株式会社 代表取締役 鈴木啓太

1981年生まれ、静岡県出身。元サッカー日本代表。2000年に浦和レッドダイヤモンズに加入し、2015年シーズンに引退。現在は、現役中に起業したアスリートの腸内細菌の研究をベースにフードテック事業を展開するAuB株式会社の代表取締役を務める。

AuB株式会社 取締役兼研究統括責任者 冨士川凛太郎

2008年、豊橋技術科学大学大学院工学研究科博士後期課程修了。

IT企業や経営コンサルティング会社にて、企業の研究資源の事業化に携わる。2016年からAuBの立ち上げに参画。これまで45競技1000人以上のアスリートの腸内細菌を検査し、その腸内細菌データを基に人々のベストコンディションを実現させるための研究に取り組む。体力医学会、臨床スポーツ医学会、農芸化学会、分子生物学会、腸内細菌学会など数々の学会で研究成果を発表。

  • 今回の研究会に関するコメント

AuB株式会社 取締役兼研究統括責任者 冨士川凛太郎

今回初開催でしたが、現役アスリート、専門家、研究関係の方々を中心に約30名ご参加いただきました。現役Bリーガーの石井選手からはアスリートとして現場で感じている課題を共有していただき、専門家の先生方と一緒に解決策をディスカッションすることができました。極限までコンディションを調整しているアスリートは、人によって解決策が異なることなど、一般的な健康情報では解決しない課題を持っていることが多いです。そのような課題について学会で議論することは難しいですが、今回は、一つひとつのテーマ・課題について深く議論することができ、課題を顕在化して研究として取り組むべきことを見つける良い機会になりました。また、最終的にはこれらの活動が一般の方々のコンディションを良くするために役立つ事に繋がるということも今回改めて実感しました。第2回以降も定期的に開催予定です。今後も本質的な課題や取り組みをフラットに相談し、情報交換する機会を作ることで、コンディショニングに関わる研究の発展とアスリートの競技力向上に貢献することを目指します。

  • AuBの研究について

アスリートに特化した「茶色いダイヤ」、検体数は世界でもトップクラスの約1000人

AuB株式会社は、「すべての人を、ベストコンディションに。」というミッションを掲げ、人々にとって理想的な腸内環境を持つアスリートの腸内細菌を研究するバイオベンチャー企業です。

AuBの最大の武器は、世界トップクラスの数と自負する、アスリート約1000人の便です。 その検体数は2200を突破しています(2023.3時点)。選手は、オリンピックの金メダリストをはじめ、海外の一流クラブやJリーグに所属するサッカー選手、プロ野球選手など、超のつくトップアスリートが多数。競技はサッカーやラグビー、陸上など、45種に及びます。

いまでは「茶色いダイヤ」とも称される、貴重な「便」。そこからDNAを採取し、腸内細菌の集団(腸内フローラ)を解析。そのデータをもとに各大学など研究機関と、腸内フローラがヒトにもたらす効果を解明する研究を進めています。

<これまでの主な研究発表について>

当社AuBはこれまで、500人・1000検体以上のアスリートの便(腸内環境)を解析した結果として、2018年10月の「日本農芸化学会」で、アスリートは「酪酸菌」が有意に多い特長があることを発表しました。 「酪酸菌」は、免疫機能を整えたり、腸の動きを活発にしたりする働きがある菌で、一般の方の約2倍あることを突き止めています(一般の方は腸内細菌の全体数のうち2~5%が酪酸菌なのに対してアスリートは5~10%と約2倍の割合)。

また、2022年7月の「腸内細菌学会」では、便中の腸内細菌を解析した結果、日常の運動量が多い人ほど、酪酸菌の占有率が高くなり、酪酸菌とビフィズス菌の占有率を合わせるとほぼ一定の割合となる傾向があることを発表しています。